FlutterやDartは公式サイトが充実しているので、信頼度の高い情報をWebで調べることができますが、日本語の書籍も出ています。
ここで紹介する以外にも、日本語で解説しているFlutterの書籍はありますが、Flutter2.0のリリース(2021.3.3)以前のバージョンをもとにしているものも多いです。
Flutterのバージョンが違うと、コードの書き方が一部違ったり、以前のバージョンでは動いていたコードがFlutter2.0では動かないと言うこともあります。
ですので、初心者であれば特に、Flutter2.0以降を対象に書かれた書籍の中から、自分の状況やレベルに合った本を選ぶのが良いと思います。
ここで紹介している書籍はすべて、Amazonで冒頭部分を見ることができるので、ぜひ見てみてください。
サンプルを作りながら学ぶ
「現場で使えるFlutter開発入門」(発行:2021.8.24)
Flutter2.2.1に対応。
タイトルが「現場で使えるFlutter開発入門」というだけあって、現場でチーム開発をしていく上で必要となるであろう内容が盛り込まれています。
となると、この本は上級者のみが手に取る書籍なのか? というと、そんなことはありません。
プログラミング初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、ある程度の知識のあるプログラミング経験者なら、Flutterを環境構築して、入門からデータベースを使ったアプリ制作までできるようになります。
サンプルで作成するアプリには、洗練されたFlutterらしい機能をふんだんに使っているので、実際に手を動かして作っていくのも楽しみながら学び進めていけます。
表面的にコードを書いて、一般的な動きを実装する手順を紹介しているFlutter解説書が多い中で、この「現場で使えるFlutter開発入門」は、実際の日常で開発作業を進める中で、必ずや遭遇するであろう失敗や、注意点などが細やかに解説されています。
Amazonの「試し読み」で冒頭部分を見るだけでも、この本の良さがわかると思います。
イチオシです!
この本の目次は以下のとおり。
- 第1章 現場でFlutterを使うために
- 第2章 レイアウト
- 第3章 アニメーション
- 第4章 状態管理
- 第5章 データベース
- 第6章 ネイティブ連携
- 第7章 課金
- 第8章 ローカライズ
- 第9章 リファクタリング・デバッグ
- 第10章 CI/CD
- (付録)
Dartリファレンス
Webアプリケーション
「実践FlutterとFirebaseを使ったアプリ開発」(発行:2021.9.3)
Flutter2.2.0に対応。
FlutterでのFirebaseを使ったアプリ開発に焦点を当て、実際にFirebaseを使って画像管理アプリを作りながら解説しています。
ある程度のプログラミングの基礎知識のある人が対象で、開発環境の構築などの説明はサラッと書かれています。
この書籍で取り上げているFirebaseの機能は、次の3つ。
- Authentication:ユーザー認証
- Cloud Storage:ファイルのアップロード・ダウンロード
- Cloud Firestore:データ保存の仕組み
そのほか、セキュリティルールを使ったアクセス制御や、Riverpodによる状態管理についても解説しています。
アプリ開発を始めるというと、すぐにコードを書くことを思い浮かべますが、この本ではその前段階の設計の手順と大切さも解説していて、アプリ開発初心者には役立つ内容です。
初心者向けの解説もありますが、レベル的には全くの初心者向けではありません。
Flutterも、Firebaseも初めてと言う方は「Flutterで始めるアプリ開発」を事前に見ておくことを推奨しています。
「入門Riverpod」(発行:2021.8.24)
Flutter 2.2.0、Flutter_riverpod ^0.14.0+3に対応。
少し前までは状態管理といえばProviderでしたが、最近はRiverpodが注目されています。
Providerでは、Widgetツリーの外からアクセスができなかったり、同じ型のデータを渡せなかったりといった使い勝手の悪さがありましたが、Riverpodではこれらの問題を解消できます。
Riverpodはもはや必須となっているので他の書籍でも取り上げられていますが、この「入門Riverpod」では、Riverpodに焦点をあて、基本から実践的な使い方まで解説しています。
この「入門Riverpod」はAmazonのみの取り扱いのようですが、「実践Riverpod」は楽天など他のショップにもあります。
「入門Riverpod」・「実践Riverpod」と名称が違うのですが、目次を見る限り2冊の内容は同じような気がします。なんだろう…
概要を知る
「はじめてのFlutter入門」(発行:2021.9.1)
Flutter2.8、Dart2.15に対応しています。
開発環境は、macOSのVisual Studio Code。
Android Studioを使っている書籍が多い中でのVisual Studio Codeでの解説本ですから、「VSCodeでやりたい」という初心者の方にはオススメです。
Visual Studio Codeの使い方の説明も出ています。
内容レベルはFlutter初心者が対象ですが、次のようなある程度の基礎知識を持っていることが前提です。
- macOSのターミナル・WindowsのPowerShellが使えること
- プログラミング言語の基礎知識
- オブジェクト指向の基礎知識
Flutterのインストールから始まり、Dartの基礎、変数、Null Safety、関数、例外、クラス、といった基礎のあと、Flutterプロジェクトの作成、チュートリアルでへと進みます。
基本部分が多いですが、データベースや、Riverpodでの状態管理の解説、アプリ完成後のストアへ公開する際の注意点もあります。
Flutterの初歩から大枠を掴むにはオススメです。取り扱いはAmazonのみ。
リファレンス的に使う
「基礎から学ぶFlutter」(発行:2019.12)
Flutter1.12.16-pre.34、Dart2.7.0に対応。
残念ながらこの書籍は2019年12月の出版なので、Flutter2の内容は入っていませんが、リファレンスとしては唯一の良書です。
内容は、Flutter公式サイトを読み込めば掲載されていることにプラスして、特にDartは著者自身の経験に基づいた事柄も掲載されています。
記載されているサンプルコードも、公式サイトと同じコードが多いです。
ですが、「公式サイトを読み込めば」と簡単に言っても、英語サイトで未知のプログラミング情報を読み解くのはかなりの労力が必要です。
その点、この本はもちろん日本語ですし、章立てした構成で読み進めることでFlutterプロジェクトの全体像を掴みやすくなっています。良書です。
FlutterとDartの、しっかりとした基礎の地盤固めができると思います。
対象読者は、「少なくとも他のプログラミング言語の経験者」か、「ネイティブアプリ経験者ならさらに望ましい」としているので、「基礎から学ぶFlutter」とはいえ、プログラミングの入門書ではありません。
内容の概略は以下の通り。目次より抜粋。
- スタートガイド(環境構築/プロジェクト構成/画面遷移など)
- Dart
- ウィジェット
- Material ComponentsとiOS-Style
- ライブラリ
- Flutterの内部構造
- アーキテクチャ
- テスト
- パフォーマンスチューニング
- アセット
Amazonの「試し読み」では、「目次」から「1. スタートガイド」の内容を見ることができます。
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