InDesignは高機能なDTPアプリケーションです。
その高機能なInDesignを、より効率よく動かすための仕組みがいくつかあります。
スクリプトを作成して、自動組版することはその最たる例ですが、その技術を習得するのはなかなか難しいものです。
DTPで初めてスクリプトを作るハメに陥った(?)ときは、どうやってその術を身につければいいかさえわからず途方にくれることも…。
いい参考書、ありますよ。
「組版時間を半減する! InDesign自動処理実例集」
学習編・実用編・応用編と分かれて、InDesignを自動化するにあたっての機能を解説しています。
学習編ではまず、スクリプトを使わずにInDesign自体が持っている機能で自動化する方法をさらっと紹介し、次にJavaScriptを使って行う自動化の基礎の話。
この学習編で目を引くのは、InDesignのオブジェクトモデル図の概要と、それに対応するInDesignオブジェクトの具体的な画面キャプチャの図。
JavaScriptの経験はあるけど、InDesignをこれから覚えなくてはいけないというような初学者にとっては、この対応図はわかりやすくて嬉しいと思います。
実用編では、スクリプトでInDesignのテキストフレームや表を扱うとき、どんなプロパティでアクセスするのかを解説。
InDesignのオブジェクトにアクセスするには、JavaScriptでどう書けばいいのかが、サンプルコードを解説しながら説明しています。
応用編は、逆引きリファレンスのような構成です。こちらも、JavaScriptのサンプルコードが多数掲載されています。
全体を通して、サンプルコードとともに、そのコードを動かすとInDesignでは何がどうなるのかという画面キャプチャも掲載されているので、理解しやすい構成になっています。
この本は2009年発行で、対象としているInDesignのバージョンはCS2/CS3と、ちょっと古い本ですが、InDesignがバージョンアップされても、ドキュメントやテキストフレームなどの基本となる部分の扱い方に違いはありません。
JavaScriptで自動化するにあたって基本部分を学ぶには、とても役立つ本です。
この組版時間を半減する! InDesign自動処理実例集は、「JavaScriptは書けるけど、InDesignがよくわからない」というようなプログラマーさんには、特にオススメします。
だんだんと店頭から在庫がなくなっている様子なので、購入を迷っているならお早めにどうぞ。
InDesignのドキュメントオブジェクトモデルは、お〜まちさんのWEBサイトが秀逸です。
InDesignを学べる良書
スクリプトが書ければ自動処理ができるのか、といえば、全くそんなことはありません。
InDesignを知らなければ、おそらく現場での実用に耐えうるような良いスクリプトは作れないのではないかと思います。
ちょっとした便利ツールとしてのスクリプトなら、局所的で一時的な知識で十分かもしれません。
でも、ひとつの案件をシステマチックに動かして、クリック一つでノーミス・時短を実現するシステムを1から構築するには、InDesignの知識は欠かせません。
すでに知っているつもりの機能でも、実はInDesignのドキュメントの作り方次第で、スクリプトを書く手間も格段に違ってきます。
スクリプトを書く手間が減れば、その後のメンテナンスがラクになるだけでなく、バグが仕込まれる可能性もぐんと減るのです。
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