条件テキストは、同一の紙面上で異なる内容のテキストを表示するという機能です。
InDesignCS4から導入されている機能だけど、ネーミングからその機能が想像しにくいためか、あるいは使い道が限られるためなのか、あまり浸透してないような気がします。
条件テキストについては、
「InDesignの勉強部屋」のNo.09 条件テキストに、分かりやすい説明があります。
この「InDesignの勉強部屋」の例では、「円」と「ドル」という2つの条件を作成して、価格の “円” と “ドル” の表示・非表示を切り替えることで、ひとつのドキュメントで英語版と日本語版を実現しています。
でも僕の場合は、この条件テキスト を使って、印刷用の文字と、印刷はしないけど保持しておきたい文字の表示切り替えとして使うことにしました。
印刷用文字と HTML特殊文字の切り替え
文字データの入稿の際、入力者によって入力規則が統一されていないことがよくあります。
例えば、普通の文字とHTML表記の改行タグや特殊文字が混在しているパターンです。
具体的には、こういうヤツ。
- 改行 と
<br>
- α と
α
- β と
β
組版する際は、これら混在している文字のうち、HTML表記は本来表示されるべき文字に置き換えなくてはいけません。
(わかりやすいように文字を赤色にしてあります。)


だけど、ここで困ったことになりました。
校了後には入稿時のテキストの状態で書き出す必要があるというのです。
要するに、「α で入稿した文字は α」で、「α
で入稿した文字は α
」でテキスト書き出しをしたいというのです。
印刷紙面用に、単純にα
をαに一括置換してしまったら、あとでα
で入稿した箇所と、αで入稿した箇所とを判別することができません。
そこで、<br>もα
もβ
も残したまま、その文字の後ろに、各々、改行・α・βを入力して条件テキストを適用することでこの問題を回避することにしました。
条件テキストの作成
条件テキストを2つ定義します。
[条件テキスト]のパネルから、[新規条件]のボタンで「コード」と「印刷」という名前で条件を作成します。



条件テキストを適用するドキュメントの準備
ドキュメントのテキストは、下の画像のように <br>、α
、β
の後ろに、本来の文字を発生させました。

文字に条件テキストを適用する
条件とドキュメントの準備ができたら、<br>・α
・β
には「コード」を、その文字の後ろの本来表示されるべき、改行・α・βには「印刷」の条件テキストを適用します。


同様にαとβ、α
とβ
にも条件テキストが適用されたら、条件テキストのパネルで表示・非表示を切り替えれば、印刷用とHTML表記混じりの2つの状態を実現できます。


条件を非表示にしてテキストを書き出す際の注意点
条件テキストの設定を非表示にしてテキスト書き出しすると、表示されていないテキストは書き出されません。

また、文章全体をコピペでテキストエディターに貼り付けても、非表示になっている文字はペーストされません。
もちろん、InDesign上でのテキストフレームや文字をコピペした場合は、条件テキストの情報も一緒にコピペされるので、表示・非表示にかかわらず条件テキストが適用された状態でペーストされます。
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